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第二十一話

「本当に五十嵐さんは、今アイドル楽しんでいますか……?」

 

 流れるような黒髪。
 無垢な輝きを携えた大きな瞳。
 お人形さんのような小さな女の子。

 合宿所の屋上。
 少しだけ日の入りが早くなってきた八月の夕暮れ。
 その眩しすぎる太陽に目を伏せ、私は微笑みます。
 私の隣に並んで立つのは、私にとってはじめての後輩。
 そんな彼女の質問に、はじめて先輩らしい答えを。

 

「楽しいですよ」

 

 きっとこの子は、私なんかよりも誠実にアイドルを目指したんだって思いました。
 だから今この子の悩みに対して、私も嘘偽りなく答えなきゃいけないんです。それが彼女が求めている答えと違っても。
 間違っていてもいい。
 想いは……想い続けることに意味があるって知ったから。
 それを、私はこの一ヶ月に学んだのだから。


「だから、私がアイドルを続ける理由は――」

 

 私は夜空に浮かぶ月のように、淡く輝くもの。
 太陽のように……凛ちゃんのようにみんなを照らす光にはなれません。
 だけど、そんな私でもできることを見つけたから。
 それが歪な願いであったとしても、きっと私はそのためにアイドルになったはずだから。

 

「すごい人が疲れちゃった時、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけね?」

 

 ――その人を支えるように唄うためだよ。

 

 訝しげに首を傾げる後輩に、私は再び笑いかけます。
 願わくば、あなたは私とは違う道を歩いてほしい。
 そう祈り、私は大きく背伸びをしたのです。

 

 永遠に続く夢を見ていたかのような一ヶ月。
 瞬きと共に消え去ってしまった一ヶ月。
 今、万感の思いをこめ、最後の幕が上がります。
 五十嵐響子と渋谷凛、十五才の夏。
 その終わりと、新たな始まりに向けて。



 とんてんかん、とんてんかん。

 

 リズムカルに打ち付けられるトンカチの音は、まるで祭りの太鼓のよう。

 

 ぎゅるるるる。

 

 今度は無機質な機械音。これは残念ながらそんなに面白い音じゃないですが、不思議と背筋が伸びます。

 

 ぎーこ、ぎーこ。

 

 今度は木材を切るノコギリの音。あはは、まるで下手っぴなバイオリンですね。

 

「ふふ、この前まではセミの声だけだったのになー」
「どうかしたの? 響子」
「ううん、別になんでもないよ」

 

 隣で柔らかな笑顔を見せる凛ちゃんに、こっちも笑ってお返しです。

 

「それにしても、結構大きなステージなんですね」

 

 私たちは今、三階音楽室の窓からヒョコっと頭を出しグラウンドを眺めています。
 ここ月見合宿所のグラウンドでは、今朝から建設業者の人たちがせわしなく作業をされています。あっという間にできあがっていくステージの基礎は、食尽祭の時のように町内会のみなさんや私たちみたいな素人が作ったステージとは大違い。簡単に言っちゃうと、ものすごくしっかりしたステージです。

 

「本当に大きいわよね。中村くんも半分ヤケクソ気味なのかしら?」
「あの馬鹿プロデューサーはヤケクソがデフォルトみたいなもんだし」
「確かにこれが平常運転な気もするわね」

 

 隣の窓から私と同じようにグラウンドを見渡している皆口さんと凛ちゃんの掛け合いは、耳に心地よく、なんだかとっても幸せな気分。
 でもそんなささやかな幸せとは違い、グラウンドにはものすごく大きな幸せを運んでくるようなセット。うーん、当初の予定と随分と変わりましたよね。

 

「ねぇねぇ、皆口さん。ふと思い出したんですけど、最初の頃に盆踊り程度だって言ってませんでした?」
「あはは、私って過去を振り返らない女なのよね」

 

 全く悪びれた様子を見せない皆口さんに、私と凛ちゃんは呆れ顔になってしまいます。

 

「かっこいいセリフだと思えないんだけど」
「ですよね」

 

 今に始まったことじゃないですが、346のプロデューサー全般に言えます。うん、みなさん過去を振り返らなさすぎです。

 

「さてと、それじゃ休憩終わり。ソロの方、一人ずついくわよ。まずは響子から」
「はーい」

 

 皆口さんの言葉に従い、私は音楽室の中央へと小走りで向かいます。
 とうとう四日後に迫った、私と凛ちゃんのユニット『ハイビスカス*シリアカス』による町興しライブ。
 今夜はその最終調整を、もう一度中村さんと皆口さんにしてもらう予定なんです。あとはステージが出来上がった本番前日にリハーサルといった次第。
 いやぁ、本当にいよいよって感じです!

 

「なーに、にやついてんのよ響子」
「え? 笑ってませんよ?」
「いやいや、あんた満面の笑みで何言ってんのよ。大丈夫? できる?」

 

 と言われてしまうぐらいに、どうやら私ははしゃいでいるようです。
 窓側の壁にもたれてクスクスと笑う凛ちゃん。
 うん、そうだよね。

 

「大丈夫ですよ、だって今の私は無敵ですから!」

 

 力強く答える私に、皆口さんは目を大きく見開いたあと、大きな声で笑いました。

 


 


「またきたよー!」
「きちゃいました~!」

 

 到着したばかりの346プロダクションの社用ワゴンカーから飛び出し、凛ちゃんの元に駆けてくる二人の女の子に、凛ちゃんは小さく手を振り挨拶をしました。

 

「忍、藍子、元気してた?」
「してるに決まってんじゃん! むしろどこかの誰かの我儘のせいで、まーた休暇だってーの!」
「う、それは悪かったよ」

 

 工藤さんの言葉に申し訳なさそうに眉をハの字にする凛ちゃん。そんな二人を見守る高森さん。
 ご存知、凛ちゃんが本来所属しているユニット「ニューカミングレース」のお二人です。

 

「五十嵐さんはどう? さすがにそろそろ凛と一緒なのも疲れてきた頃じゃない?」
「あはは、そうです、色々と疲れる事いっぱいでしたよ~」
「ちょ、響子!」

 

 私の返事に気をよくしたのか、工藤さんはさらに大笑い。つられて私も笑ってしまいました。

 少しだけふくれっつらの凛ちゃん。ふふ、一ヶ月前には絶対に見られなかった顔ですよね。それは高森さんにとっても同じようで、彼女は私に対して会釈をしてくれました、勿論私も慌てて頭を下げます。やっぱり高森さんとは、どうもシンパシーを感じちゃうんですよね。
 アハハと笑う工藤さんの後ろから、ぬっと現れる影。

 

「よぉ、凛~。随分丸くなってんじゃねぇか?」
「ああ、プロデューサー。ま、おかげさまでね」

 

 久しぶりに現れた中村プロデューサーに対して不敵に笑う凛ちゃん。うわぁ、なんか顔つきが似た者同士っぽくなっちゃってますよ……?

 

「響子ちゃんも久しぶり。ちょっと肌焼けた?」
「あ、はい。ちょっとだけ」
「いいねいいね。白い衣装には健康的で若々しい肌が映えるってもんだ」
「プロデューサー、それセクハラじゃ……」
「ね……」

 

 凛ちゃんと工藤さんが、蔑んだ目を中村プロデューサーに向けます。別に私は気にしてないんですが……。

 

「まぁ、なんだ。感動の再会は置いといて、ちゃっちゃと用件済ますか」
「なに言ってんのプロデューサー? 暑さで頭やられちゃった?」
「凛。オレはもともとイカれてるからその言葉通じないからな?」
「それ、威張りどころかな」
「そんなわけで、藍子頼むわ」

 

 いつの間にやら中村プロデューサーの隣に立っていた高森さんは、彼の言葉にコクリと頷くと、ワゴン車へ向かって声をかけました

 

「神谷さーん、どうぞいらっしゃってくださーい」

 

 彼女の呼びかけに、ワゴン車の影から現れる男性。その隣には二人の女の子。

 

「え? 誰でしょう?」
「さぁ……。でもなんか見た事あるような」

 

 ハテナを浮かべた顔で、私と凛ちゃんはお互いの顔を見合わせます。

 

「えーっとですね、あ、私が言うより自分で言ったほうがいいですよね」
「うん、ありがとう高森さん」

 

 高森さんにそう返事をしながら、スーツの襟を正す男性。中村プロデューサーのラフな格好と違って、いかにもサラリーマンといった風貌です。
 少し寝癖のついている髪の毛と、眼鏡が印象的なその男性は、小さくお辞儀をしてから、

 

「はじめまして、ワンダーランド・プロジェクトの神谷です」

 

 と、名乗ってくれました。

 ワンダーランド・プロジェクト?
 なんだっけ、どっかで聞いた事があるような……。

 

「それで、こっちの二人が……」
「歌って踊れる声優アイドル、ウサミン星人こと、ナナで~す! キャハッ!」

 

 ピタリと止まる時間。

 

「…………え」
「…………え」

 

 神谷さんが紹介してくれた小柄なポニーテールの女の子、ウサミン星人さんの自己紹介に私と凛ちゃんは呆気にとられてしまい……。あ、うん、えーと。

 

「あ、ああ~~~っと、ど、ドン引き!」
「当たり前じゃないですか! その自己紹介絶対やらないとダメなんですか!?」
「う、ううっ、一応お仕事ではそういう決まりなので……」
「な、ん、の、決まりですか! 大体、菜々さんは声優の仕事は一回しかしてないじゃないですか!」
「ああ、それは言わない約束でしょ、ありすちゃ~ん!」

 

 隣にいる長い黒髪の小さな女の子が、物凄い喧騒でウサミン星人さんが叱り始めます。ま、まずいです、完全に状況についていけてませんよ?
 一方、中村プロデューサーや工藤さん達は絶賛爆笑中。な、なんなんですか?

 

「ん、んんっ!」

 

 神谷さんの咳払いで、黒髪の女の子は「ハッ!」と大きな声をあげると、恐る恐る私たちの方を振り返り。

 

「と、取り乱してすいません。私の名前は、橘……ありすと言います。よろしくお願いします」

 

 そう言いながら頭を下げる女の子。えと、橘ありすちゃん? ありすちゃんですか。可愛い名前ですね。

 

「おお、ありすちゃん、今回はちゃんと自己紹介出来たじゃねーか!」

 

 中村プロデューサーが手を叩きながらありすちゃんを褒めると、彼女は顔を真っ赤にして「橘です!」と反論しました。んん? なんかどことなく凛ちゃんに似てるような。

 

「……あー、うん。私はキングダムの渋谷凛です。よろしく」

 

 私と同じように状況がわかっていない凛ちゃんですが……さすがです。ちゃんと挨拶しています。この"とりあえず合わせていくスタイル"は是非見習わないと! 芸能人として!

 

「私は星空組の五十嵐響子です! よろしくお願いします!」

 

 凛ちゃんに続いて頭を下げて挨拶します。うん、間髪いれずに追随できました。バッチリです。……金魚のフンみたいとか言わないでくださいね? 私メンタルあんまり強くないので。
 それはそうと、この人たちは一体?

 

「よし、自己紹介終わったか?」
「……一応」
「はぁ、まぁ……」

 

 中村プロデューサーの言葉に一応頷く私たちですが、相変わらず何がなんだか。

 

「んじゃ、改めて説明してやるよ。こっちの二人、ナナちゃんとありすちゃんには」
「橘です」
「おう、ナナちゃんとありすちゃんには今回の町興しライブの司会をやってもらう」
「橘です!」

 

 え、司会?
 またまた初耳ですよ。

 

「司会、ってどういうことプロデューサー?」

 

 凛ちゃんが私の変わりに質問をすると、中村プロデューサーは神谷さんへと目配せをします。

 

「えーっとですね、お二人のライブが始まる前に、色んなイベントを月海町の方たちが行うそうで。その総合司会を、ウチの所属である」
「はい! ナナです! ナナがお任せされちゃいました!」
「……アシスタントの橘です」

 

 ああ、なるほど! そう言う事なんですか!
 隣にいる凛ちゃんも「ああ」と頷きます。確かにお祭りがあるって言ってました。へぇ~、今度は司会にも346の手が入るんですか。いよいよもって本格的!

 

「ああ、ナナちゃんはライブ自体も放送室からサポートしてくれるんだぜ? 二人とも感謝しておけよー?」

 

 その言葉の意味するところはサッパリでしたが、何にしてもバックに他のアイドルが居てくれるのは心強いです。
 でも、一つだけ引っかかることがあって。

 

「あの、放送室って?」

 

 中村プロデューサーの話には、これまた聴き慣れない単語がありまして。気になったので今度は私が質問をすると、彼はニヤリと笑い――

 

「まぁ、それはリハーサルまで楽しみにしてな」
「ですよ~! ナナ頑張っちゃいますね♪」

 

 妙に息のあった中村プロデューサーとナナちゃんに、苦笑いをする神谷さん。その隣で不貞腐れたような顔をするありすちゃん。

 こうしてライブに向けた私たちに、心強いバックアップが出来たのでした。

 


 


「ここが私たちの寝泊りしている三階の教室だよ」
「うわぁ、本当に教室のままなんですね」

 

 6-1の教室へ、トコトコとゼンマイ仕掛けのお人形さんのように入っていくありすちゃん。う、可愛いですね。

 

「これ、お布団ですか? ベッドとかではなく?」

 

 教室の隅に詰まれた布団を見たありすちゃんは、困った顔で私を振り返り、訊ねてきました。

 

「うん、ここで寝泊まりしてるんだ。まだここは合宿所としては未完成なんですよ」
「へ、へぇ。教室の床に直接お布団だなんて、なんだか不思議な感じがします」

 

 それにしてもありすちゃんは言葉使いが丁寧です。なんでもまだ彼女は小学六年生。つい一週間ほど前に十二歳になったばかりだそうです。……私ってその頃こんなにしっかりしてたっけ?
 それでもまだ年相応の好奇心が止められないのか、教室中を早歩きで物珍しそうに見て回るありすちゃんは、とても微笑ましく見えました。

 

「あ、冷蔵庫……。教室に冷蔵庫がありますよ、五十嵐さん!」
「あるよー。変な感じでしょ?」
「こ、これは相当おかしな光景ですね」

 

 顎に手を当てて「フム」と物珍しそうに冷蔵庫を見るありすちゃん。まるで探偵みたいな振る舞いですね。

 

「何か飲む? といっても麦茶ぐらいしかないけど」
「いいんですか?」
「勿論。好きなだけで飲んでもいいよ~」
「では、お言葉に甘えて……」

 

 冷蔵庫の隣の机に置かれた小さな戸棚から、グラスを二つ取り出すと片方をありすちゃんへと渡します。

 

「それじゃ、ちょっと持っててね、ありすちゃん」
「……はい」
「あ」

 

 しまった、つい名前で……。

 

「ご、ごめんね橘さん。気を悪くした?」
「いえ……そんなことは、ないですが」

 

 彼女、橘ありすちゃんは、どうやら「ありす」と呼ばれる事に抵抗があるみたいなんです。先ほどの自己紹介の後、彼女は私と凛ちゃんに「できるだけ、橘と呼んで頂けないでしょうか?」と話しかけてくれました。事情はわかりませんが、私と凛ちゃんは「いいよ」とありすちゃんのお願いを聞き入れたんです。
 でも、やっぱり、ついうっかりってことはありまして……。

 

「……あまり言いたくない話なら、無理して話してくれなくてもいいんだけどさ」

 

 ありすちゃんのグラスに麦茶を注ぎながら、私は彼女に訊ねます。

 

「橘さんは、名前が好きじゃないのかな?」

 

 彼女はちょっとだけ私から視線を逸らし、小さく頷きました。

 

「……子供っぽい名前なんで、あまり好ましくは思っていません」

 

 そう言いながらも小さく頭を下げながら、「頂きます」と言ってグラスに口をつけました。

 

「そっか……」

 

 ここで、可愛い名前なのにとか言ったら、多分逆効果なんでしょうね。ううん、きっとそう言われ続けたからうんざりしちゃってるのかな? 何にしてもここは触れないでおいた方が……。

 

「あの、五十嵐さん!」
「ふぇ!? な、なに!?」

 

 椅子に座ろうとしたところ、急に彼女が大きな声を出すから、びっくりして体勢を崩してしまい。

 

「ああ! お茶が!」

 

 私よりもありすちゃんの方が大きな声をあげると、彼女はすぐさま立ち上がりショートパンツのポケットに中を探ります。
 あらら、結構零しちゃいましたね……。セーラー服のスカートがじんわりと……って。

 

「はっ!?」
「はい!? ど、どうしました五十嵐さん!」
「え、あ、うん? え、あぁっ!」

 

 こ、これ、濡れちゃった場所が完全に誤解を招く場所ですっ!!!

 

「だ、大丈夫だよ、橘さん」
「ご、ごめんなさい。ハンカチを鞄の中に置いてきちゃったみたいです……」

 

 ビショビショになってしまったスカートをハンカチでどうこう出来るとは思えませんし。今はそれよりも問題があります。

 

「いいよいいよ。幸いこの教室は替えの服もあるし、大丈夫大丈夫っ」

 

 一刻も早く着替えないと、変な誤解を招く位置がビショビショなのは困ります。とくに皆口さんには見られるわけには。

 

 ガララッ。

 

 ああ、神様って本当に意地が悪いんですよね。知ってましたよ。
 そんな風な諦めも入ってしまうほど、絶妙のタイミングで教室のドアは開かれ――

 

「あっ」

 

 そこに立つのは皆口さん。一瞬呆然とした後、その頬はどんどんフグのように膨れ上がっていきました。涙目と真っ赤な顔は、その沸点を超えて……。

 

「ぶっ! あっはっはっは! 何やってんの響子! 後輩ちゃんの前で盛大におもらししちゃって!」
「やっぱりっ!!!」

 


 


「私のせいで、本当に五十嵐さんにご迷惑をかけてしまって」

 

 ありすちゃんが何度も何度も頭を下げてくれますが、こんな小さな女の子から謝罪をされるのは、罪悪感がすごすぎて。

 

「ほんと、大丈夫。大丈夫だからね? うん、よくある事故だって」

 

 ジャージとTシャツに着替えた私は、懸命に謝ってくれるありすちゃんをなだめます。事情はすでに皆口さんに説明済み。そう、この件はもう終了なんです、終了。
 なのに、この人は……。

 

「ああ、面白かったわ、おもらし響子。いいわ~、もう私にとって響子のポジションはこれで決まりよ」
「あのですね……」
「だから橘さんが謝る必要、これっぽっちもないわよ?」
「でも、そういうわけには……」
「確かに橘さんは悪くないですが、私は皆口さんに文句を言い足りません」
「おお、怖い怖い!」

 

 目で色々と訴えてみますが、皆口さんには全く通じてない様子。どうして彼女は私の中で上がった頼りになる大人というステータスを、自ら捨てていくんでしょうか。

 

「で、なんですか? 皆口さん、私と橘さんをここに呼んで」

 

 私は少しだけ語気を強めてそう言います。
 中村プロデューサーは凛ちゃんたちNGメンバーとナナちゃんを引き連れ、放送室へと向かい、私は残ったありすちゃんと共に皆口さんと合流するために、ここ6-1へとやってきていたのです。

 

「ん、そうね。別に大した用はないんだけど」
「え? ないんですか?」
「ないわっ」

 

 何故か「バーン!」という効果音が聞こえました。幻聴が聞こえるのはさすがにイヤだなぁ……。
 効果音にあてられたのか呆けた顔をするありすちゃん。うん、皆口さんのテンションについていくのって初見だと難しいですもんね。

 

「んー、そうねぇ。響子と橘さんをここに呼んだ理由は、しいて言うなら……」

 

 皆口さんは右手の人差し指をピンとありすちゃんに向けると、

 

「あなたが渋谷凛に似ていることが理由ね!」

 

 今度は「ババーン!」というジングル音も聞こえます。耳鼻科いこうかなぁ。

 

「ああ、うん。皆口さん、とりあえず人様に指を指すのは悪いですよ」
「ごめんごめん。ついノリで」

 

 やんわりと皆口さんの指を掴み、その腕を降ろさせます。
 と、静かに私たちのやり取りを聞いていたありすちゃんが、ポツリと呟きました。

 

「私が……渋谷さんに似ている、ですか?」

 

 ああ、確かに。さっき中村プロデューサーとのやり方も、最初にあった時の凛ちゃんみたいでした。

 

「そうよ、中村くんに頼まれちゃってね。橘さんは、もうすぐデビューなんでしょ?」
「はい、九月には」

 

 へぇ~! ありすちゃん、もうすぐデビューなんだ! ありすちゃんとっても可愛いですし、なんかすごくウケそうな予感がありますよ!

 

「ねね、橘さんはソロデビューなの? ユニットなの?」

 

 興味津々で前のめりになった私に、ありすちゃんは口に手を当て少しだけ考え込むと、小さくため息をつきました。

 

「ユニットです。先ほどご挨拶の時に一緒にいた安部菜々さんと、ペアユニットでデビューすることになっています」
「お~! ナナちゃんとなんですね! いいじゃないですか!」
「ちょっと響子、私が話してるんだからインタラプト禁止」

 

 今度は私が皆口さんから注意をされてしまいました。むぅ。

 

「うん、それで、橘さんは安部さんと上手くいってないって話なのよね?」
「…………」

 

 無言で頷くありすちゃん。

 ああ、さっきありすちゃんが急に話しかけた時も、この話をしようとしてたのかな?

 

「でも、私と渋谷さんと似ていることと、私が菜々さんと上手くいかないことって、何か関連性があるんでしょうか?」

 

 でも負けてはいまいとばかりに、すぐさま反論を始めます。うわぁ、この子負けず嫌いっぽい! 確かに凛ちゃんに似てるかも!

 

「ふふ、いいわねぇ、ちっちゃな子犬が必死で噛みついてくる感じ」
「なっ! そ、それはあまりに失礼じゃないですか! 撤回してください!」
「あら、褒めたつもりなんだけど?」
「いや、皆口さん、それ絶対褒め言葉になってませんって」

 

 いつの間にやら立ち上がって鼻息を荒くするありすちゃんに、皆口さんはニヤリと笑います。

 

「ねぇ、橘さん。響子とちょっと歌ってみなさいよ」
「え?」
「は?」
「あら、聞こえなかった?」

 

 いやいや、まーた何か言い出しましたよこの人は。

 

「私が五十嵐さんと? どうしてですか?」
「そうねぇ。渋谷さんは響子と一緒にいて、相当成長したと思うわ」
「ちょっと! 変な持ち上げ方しないでくださいよぉ!」
「あんたこそ何言ってんのよ。せっかくこうして後輩が来てくれてるんだから、しっかり点数稼ぎなさい」

 

 皆口さんは椅子から立ち上がると、手を腰に当てたいつものポーズをします。うわぁ、もう何を言っても聞かないモードです。

 

「橘さん、あなたが渋谷さんに似ているのなら、響子から何かを学べるはずよ」
「……っ」

 

 その言葉を聞いたありすちゃんは、申し訳なさそうに私を見つめてきました。ううっ、買い被りすぎですよ。私が凛ちゃんを成長させただなんて。

 

「響子は今晩、渋谷さんとの最中調整があるわ。だから、そうね……」

 

 皆口さんはポケットから出したスマホの画面を確認します。

 

「今が十五時だから、十九時までの四時間、橘さんに響子を貸してあげる。好きなように使いなさい。きっとそこに、あなたと安部さんのズレが見えるはずよ」
「あのぉ、皆口さん、私はアイテムか何かじゃないですけど……」
「だーかーらー。せっかくの機会なんだから、先輩らしいことしなさいな!」
「わけのわからない無茶振りやめてくださいよぉ!」

 

 そんな皆口さんと私の息詰まる攻防を、ありすちゃんが見つめています。ああ、そのなんだから「期待に満ちた眼差し」は!

 

「わかりました。五十嵐さん、私に菜々さんと上手くいく方法を、教えてください!」
「え、ええっ!?」

 


 


 といっても、私はありすちゃん達の持ち歌を知りません。デビュー前なので当たり前ですが。ありすちゃんもプレイアデスの楽曲は全然知りません。結局のところ、カラオケのように二人の知っている既存曲を唄うしかありません。
 そうして、二人が知っている曲と行き着いたのが。

 

「それじゃ、これ行ってみる?」
「はい、それなら私も歌えます」

 

 スマートフォンの液晶画面に映し出されたミュージックプレイヤー。

 

 さよならメモリーズ/Newcomin' Grace

 

 結局ニューカミングレース、凛ちゃんの曲になっちゃうんですよね。運命感じちゃいますよ? そりゃまぁ、去年の冬にバカ売れしましたし、アイドル好きには当たり前のように知ってる歌なんですが。

 

「それじゃカラオケで行くから、歌詞は自分のスマホで確認よろしくね」
「はい、お願いします!」

 

 凛ちゃんの歌を私がアイドルとして歌うなんて不思議な感じ。
 今年の正月には、鳥取の実家にあるテレビの向こう側で凛ちゃんが歌っているのを見ていただけなのに。
 たった半年の前の事なのに、遥か昔に感じてしまうなんて。

 

『桜が咲くよ 見慣れたいつもの坂道に』

 

 え?
 この声は?

 

『あぁ 別れを』

 

 ありすちゃんの声が教室に響きます。
 それは私の想像をしていた小学生の女の子とは全然違っていて。

 

 ――この子、本格的だ!

 

 その瞬間、私の中のスイッチが入る音がしました。
 昔を思って感慨に耽っている場合じゃないですよ!

 

『泣いて笑ったあの日々 なんだか昨日のことのよう』

 

 私はありすちゃんの声に、自分の声を乗せるように唄い始めます。
 可愛らしくも、リズムや音程がしっかりとしたありすちゃんの歌声は、私なんかが一緒に唄わなくったって十分すぎるほどの力を秘めていました。でも――

 

『この道はそう 未来へ続く道 そんな気がしたの』

 

 ほら、私の声がちょっと後ろに入ればもっとよくなる!
 これってまるで、凛ちゃんと唄っているみたい!

 

『例年より早い開花予想を 君は嬉しがってた』

 

 あれれ?
 ありすちゃん、すごい困った表情。

 

『私は笑って「そうだね」って言った』

 

 声量も若干落ちたみたいだし。
 じゃ、これでどう? 

 

『あと少ししたらもう ここには戻れないのに』

 

 ありすちゃんの声に合わせて、私も声を抑え目に。
 ほら、全然私の事なんか気にしなくていいよ。
 どんどん前に! 前に!

 

『言葉じゃうまく言えない想いを キミに打ち明けるとしたらなんて』

 

 サビになって、ありすちゃんの声が大きくなりました!
 それじゃ私はその声を邪魔しないように、ちょっとだけボリュームを抑えて、歌に厚みを持たせるように。

 

『伝えよう 最初で最後』

 

 ふふ、楽しい! やっぱり誰かと唄うのって楽しいな!

 

『いつか一緒に帰った道は 私にとって特別な思い出』

 

 ありすちゃんは、吹っ切れたようにボルテージをあげていきます。
 さぁ、追いかけよう。ここは私も全力で。

 

『忘れないよ さよならメモリーズ』

 

 最後は、ありすちゃんに任せるように……。

 

『春が来たら それぞれの道を』

 


 


 あれから三時間以上が経ちました。
 二時間カラオケをした私とありすちゃんは、その後皆口さんと別れ家庭科室へ。
 そこで工藤さんと高森さんが持ってきてくれた、お土産のケーキを頂きました。
 箱いっぱいに入ったお洒落なケーキの中、一つだけあったシンプルなショートケーキをありすちゃんが選んだのには、ちょっと驚きましたけど。

 そして今は、二人で屋上で夕日を眺めているのです。
 もうすぐ凛ちゃんと合流して、中村さんと皆口さんにも見てもらいながら、ライブに向けての最終チェックです。

 

「あっという間に時間経っちゃったね」

 

 時刻はもう十八時半。
 屋上から見えるグラウンドを見ると、すでに業者のみなさんはお帰りになったようです。昼間に聞こえていた建設オーケストラもすっかり閉演ですね。

 

「どうだった?」
「え?」

 

 感想を尋ねると、まるで心ここにあらずといった様子で、パチクリと瞬きをするありすちゃん。

 

「ん、何かナナちゃんと上手くいく方法は見つかりましたかなぁって」

 

 正直、「見つかった」と言われると、私の方が困惑しちゃうと思います。そのぐらい私は何もしていませんでした。むしろ、小学生らしからぬ歌唱力を持ったありすちゃんの歌声を堪能させてもらった気持ちの方が強いんですよね。

 

「えと……まだ見つかってはいません」
「そっかぁ」

 

 当然かな。でも、どうしたものかな。一応先輩として、何か一つぐらい彼女の助けになるような事言ってあげたいけど……。

 

「あの……だけど一つだけ。質問をさせてください」
「ん? 何か気になる事でもあった?」

 

 ありすちゃんは、目を閉じ「えーと、えーと」と呟きます。これから質問することをまとめているんでしょうか?
 「よし」とありすちゃんは小さく自分自身を奮い立たせるかのように呟くと、真っすぐに私を見つめてきました。

 

「五十嵐さんは、どうして私よりも小さな声で歌ったのでしょうか?」

 

 ああ、やっぱりそこですか。途中で困り顔でしたものね。

 

「要所要所で、私の声が映えるようにわざと引いて唄っていたように聴こえまして」
「うん、そうだよ。私は橘さんの歌に寄りそってただけだから」

 私の答えにありすちゃんは目を伏せました。

「でも、それじゃ私が主役じゃないですか……。私だけは目立って、気持ちよく歌って」
「うん? 別に悪い事じゃないと思うけど?」

 

 ありすちゃんは、首をぶんぶんっと左右に振ると、もう一度私の瞳を真っすぐに見つめてきました。こんなところまで凛ちゃんと同じだなんてね。

 

「何故です? 菜々さんもそうです。どうして前に出てきてくれないんですか?」

 

 ありすちゃんは、悔しそうに握った拳を震わせます。

 

「私は……前に出たいです。だって、前に進みたいから。でも……」

 

 ありすちゃんは静かに吠えます。

 

「でも、菜々さんも五十嵐さんも、そうではなかったんです。どうして? 私が子供だからって遠慮してるんですか? それとも、本当に前に進みたくないんですか?」

 

 今にも泣き出しそうなありすちゃんに、私は優しく「違うよ」と答えました。
 だって、ありすちゃんのその悔しそうに悩む姿は、本当に凛ちゃんのよう。
 不器用で真っすぐで、相手の事を思いやる心はすごく強くって。
 でも、だからこそどこを目指せばいいのかわからなくなっちゃう女の子。

 

「私にはわかりません……。どうして自分を犠牲にできるのか」
「それは違うよ、橘さん」

 

 ありすちゃんが、そう思ってしまっても仕方ないことです。
 それでも私は、すぐさま否定したんです。

 

 ――ああ、なるほど。本当に皆口さんも中村プロデューサーも意地が悪すぎます。

 

「わかりません。私には自分を抑え込んでまで、アイドルを続けるなんて。そんな考えは理解できないんです。五十嵐さんは、どうしてアイドルを続けられるんですか? お願いです、教えてください……」

 

 そう、これは私に言ってるんじゃない。
 私に重ね合わせた、ありすちゃんのパートナー「安部菜々」に言っているんだ。
 そして多分、この質問は絶対に本人にできないことなんだ。

 

「本当に五十嵐さんは今、アイドル楽しんでいますか……?」

 

 少しだけ日の入りが早くなってきた八月の夕暮れ。
 その眩しすぎる太陽に目を伏せ、私は微笑みます。
 私の隣に並んで立つのは、私にとって初めての後輩。
 そんな彼女の質問に、はじめて先輩らしいこと答えを。

 

「楽しいですよ」

 

 きっとこの子は、私なんかよりも誠実にアイドルを目指したんだって思いました。
 だから今この子の悩みに対して、私はただ誠実に答えなきゃいけないんです。それが彼女が求めている答えと違っても。
 それを、私はこの一ヶ月に学んだのだから。
 間違っていてもいてもいい。
 想いは……想い続けることに意味があるって知ったから。
 
「だから、私がアイドルを続ける理由は――」

 

 私は夜空に浮かぶ月のように淡く輝くもの。
 太陽のように、凛ちゃんのようにみんなを照らす光にはなれません。
 だけど、そんな私でもできることを見つけたから。
 それが歪な願いであったとしても、きっと私はそのためにアイドルになったはずだから。

 

「すごい人が疲れちゃった時、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけね?」

 

 ――その人を支えるように、唄うためだよ。

 

 訝しげに首を傾げる後輩に、私は再び笑いかけます。

 願わくば、あなたは私とは違う道を歩いてほしい。

 そう祈り、私は大きく背伸びをしたのです。

 

「アイドルを目指す理由、アイドルとして居続ける理由。きっとそれはアイドルの数だけ存在してると思うんです」

 

 背伸びを終えた私は夕日を見つめます。
 そう、あの太陽が私は好きだから。

 

「わかりません。理解できません。だけど……」

 

 ふっとありすちゃんの握りこぶしが緩みました。

 

「五十嵐さんは、それが心底楽しいのですね」
「ダメかな?」
「いえ、全然ダメなんかじゃないと思います。ただそんな考えが、私にはなかっただけで」

 

 そうだと思います。
 だって私も一ヶ月前まで、そんな私になれるなんて思ってもなかったから。

 

「……どうかな? ナナちゃんのこと、ちょっとわかったかな?」

 

 ありすちゃんは、苦笑いと共に「はい」と答えてくれました。
 その顔は不思議と晴れ晴れとしていて、私の心も温かくなったのでした。
 彼女は今、自分の枠という小さな部屋の窓から、初めて外を覗いたのかもしれません。
 そうですね、こっちもう一つだけ神様にお願いしますか。

 

 ありすちゃんの見た新しい景色が、彼女に幸福をもたらしますように。

 


 


 メロディーが止まり、私と凛ちゃんは定位置でピタリと止まりました。
 そして一瞬の間があり、押し寄せてくる拍手が音楽室に響きます。
 皆口さんが、中村さんが。
 工藤さんが、高森さんが。
 ナナちゃんが、ありすちゃんが。
 一斉に拍手をしてくれたんです。
 横に居る凛ちゃんを見ると、彼女も私を見ていました。
 私たちはお互いに頷きます。
 私たちは今、誰にも止められないって、心の底から信じられたから。

 

「よし、完璧だな。二人とも言う事はねーよ」

 

 珍しく凛ちゃんをからかうこともなく、中村プロデューサーが褒めてくれました。

 

「まぁ、私と響子は最強だからね」
「私と凛ちゃんは無敵ですもん」

 

 そう言う私たちに、大笑いする中村さん。

 

「つい一ヶ月前まで、二人ともバラバラだったのにねぇ」

 

 皆口さんの言葉に、凛ちゃんは答えます。

 

「ほら、私たちって過去は振り返らない女だから」
「あ、パクられた!」

 

 二人のやりとりに私は思わず吹き出してしまいました。
 工藤さんが、グっと親指を立ててニカっと笑ってくれました。私はそれにVサインで返します。あ、なんか今のちょっとかこいいですよ! そろそろ工藤さんや高森さんも名前でも呼んでもいいのかな?

 

「い、五十嵐さん、渋谷さん!」

 

 駆け寄ってきたのは、ありすちゃん。
 その目はキラキラしていて。

 

「あの、あの、お二人ともすごかったです!」
「そう?」

 

 凛ちゃんが素っ気なくも、気持ちのこもった言葉で返すとありすちゃんも「はい!」と元気よく答えます。そして――

 

「五十嵐さんも、すごいです! ユニットって、すごいです!」
「ありがとね。どう、外から見ると違うものでしょ?」
「はい、はい!」

 

 コクコクと頷くありすちゃんは、そのあとナナちゃんの元へと駆けていきました。
 ふふ、上手くいくといいね、ありすちゃん。

 

「やるじゃない、響子」

 

 私の肩をポンと叩く皆口さんに「まぁ、先輩ですから」と答えます。
 でも実際は、どうなんでしょうね。ちゃんと先輩らしいことできたのかな?
 それはきっと――

 

「あの子達『メルヴェイユ・ラパン』がデビューした後、あなたのアドバイスがちゃんと届いたかどうかわかるわよ」
「……答え合わせ、結構先ですね」

 

 皆口さんは「時間なんかあっという間に過ぎるわよ」と言いました。
 そうですね、時間はあっという間に過ぎていきます。

 でも、だからこそ――

 

「さて、それじゃ、凛、響子ちゃん。最終チェックはこれで終わりだ」
「そうだね」
「はいっ」

 

 私たちの言葉に満足気に頷いた中村プロデューサーは、これまでに見た事もないような優しい表情になり――

 

「それじゃ延長戦だ。あと二日次第で、運命は変わるぞ? いいかおまえら……」

 

 中村プロデューサーが告げた言葉。

 それは私と凛ちゃんにとって――泣けちゃうぐらい優しくなれるもので、叫びたくなるほど嬉しいもので。
 これから先ずっとずっと、心の奥で宝石のように光り輝くものでした。

第二十一話 了

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